朝起きてからまずすること【書を捨てよ、町へ出よう】
は、当然洗顔や歯磨きなのだけれど、それ以外に、ぼくには習慣がある。
それは、その日の予定、こなす事を、頭の中でイメージする事だ。
午前中はこれをやって、午後はこれをして、夜はこれをやる……的な。
それをやる事で、めちゃくちゃだった頭の中の地図が、なんとなく整っていくのが分かる。目指すべき方向性、羅針盤が、曖昧に形を成していくというか、そんな感じ。
ただ、そこでポイントがあって、イメージはするけれど、イメージをし終わったら、それを忘れて、現実を生きるのだ。
そうでないと、想像に捉われて、実際の行動力が落ちる。
妄想や想像をしたまま、現実実際は、ベッドの中という事もままある。
だから、実際の行動をする時は、現実だけを見つめて、生きなければならない。
その塩梅が難しいというか……。ぼくは一番病んでいた二十代前半、この状態が非常に長かった。ずっと頭の中でうじうじと考えて、煮詰めて、掻き混ぜて。
それでも当然、答えは出ない。当然だ。家から出ないと、何も始まらない。
書を捨てよ、街へ出よう。
寺山修司氏も、そんな事を言っていた。
百冊恋愛の本を読むよりも、一回恋に落ちた方が、ずっと経験値は手に入る気がする。
辛い思いもするだろうし、幸福な気持ちも味わうだろうけれど、別に、それはそれでいいと思う。何より怖いのは、何も知らない事じゃないだろうか。
ただ、イメージ出来る事というのは、既に頭の中にある事だから……。
頭の中に無い、未体験の現状に遭遇した時、イメージから抜け出せていないと、反応が悪くなる。だからあくまで、今が大事。イメージしたら、それは捨てる。
そう、まさに。書は捨てる。
イメージは知識。書から発露されるもの。